暖かで儚い幸せ あたたかではかないしあわせ
手渡れた服と服を持っているシモンズ主任を交互に見ると
「あら、さんと会うんでしょ?」
「え?
あの、それをどこで?」
差し出された服を受け取ると
シモンズの言葉に驚き聞き返すと
「声が漏れていたのを気付かなかったの?」
「漏れてたんですか?」
「ええ、ナイショにしたかったら
もっと小さな声で話した方がいいわよ」
笑いながらキラに言葉を返していると
「あの、この事は・・・」
キラの不安そうな表情に
「ダレにも話さない様に言ってあるわ。
アークエンジェルにはカガリ様がなんとかしているはずよ」
話を先読み、微笑みながら言うと
手に持っている服に視線を落し、つぶやく様な声で
「なんだか皆さんにご迷惑をおかけしてばかりですね・・・」
言い終わると、視線を上げ苦笑し、シモンズを見ると
「悪いと思うなら、さんを少しでも甘やかしてあげる事ね」
「え?」
真剣な眼差しと、今まで聴いたことの無い声に
戸惑いを感じ聞き返すが、真剣な表情にまま
「色々あったのよ」
そう、言い終わると目を閉じ
なにを思っているのか暫くすると目を開け
「そろそろ食事の時間よ。
食堂に行くといいわ」
キラの肩を軽く叩き、背を向け歩き
部屋を後にした。
今まで見た事の無い表情に
ただ見ているだけしか出来なかったキラは
シモンズが部屋から出て行っても体を動かす事も出来ずにいると
いつまでたっても食堂にこないキラを心配して様子を見に来た
カガリに発見されひっぱられるキラの姿に
社員達が不思議そうに見送った。
「アークエンジェルには上手く言っておいた。
楽しんでこいよ」
社員宿舎の1室へ案内され
カードキーをカガリから手渡され、
立ち去ろうとするカガリを引き止め
「あの、カガリ!
聞きたい事があるんだけど」
「なんだよ?」
キラの言葉に立ち止まり、振り向き
お互い向き合うと
「さっき、シモンズ主任からの事を聞いたんだけど
『大変だった』て聞いて・・・・
カガリは何か知ってるかな、て思って・・・・」
聞えてくる言葉に眉を潜め
「お前にも今まで色々あったんだろ?
にだって色々あったって不思議じゃないだろ」
言い終わると、片手を上げ
歩き出し、去っていくカガリの背中を見送ると
案内された部屋に入り、約束の時間まで過ごすと
うっすらとした光の中を歩き
建物の外に出ると、波の音が聞え
耳を傾けながら歩くと、街頭に照らされたベンチに座る
影を見付け、早足で歩いて行くと
海を見ているの横顔が目に入り
数ヶ月前まで一緒に過ごし毎日見てきた表情のどれにも当てはまらず
別人ではないかと思い立ち止まるが
「お兄ちゃん!」
キラの存在に気が付いたが
ペンダントの鐘を鳴らしながら手を振り、笑顔で呼ぶと
「遅くなってゴメンね。
だいぶ待ってた?」
止まっていた足を動かし
の元へ駆け寄る。
「全然!
私がチコクしたとばかり思ってた」
座っていたベンチから立ち上がり
キラに手を握るが、振り払われ驚きキラの顔を見ると
戸惑い、
「ごめん!
その、僕の手汚れてるから・・・」
慌てて詫びをに入れると
はキラの手を見た後、自分の手を見
「さっきまでアストレイトの整備してたから
お兄ちゃんの手より私の手の方が汚れてるかも・・・」
独り言の様に言うの言葉に
苦笑していると
「ゴメンね
ダレも居ないからって、手を繋いで歩いたら恥ずかしいよね」
笑い、先に歩き出したに
慌てて後を追い、横に付くと右手を取り
「そんな事無いよ」
に微笑み返すと
「そっか、良かった」
微笑み返し、海沿いを道から
海岸へと下り砂に足を取られながらお互い無言で歩き
岩場にたどり着くと、がキラの顔を見上げ
指を刺し、繋いていた手を離すと海水から出ている岩に飛び乗り
「お兄ちゃん、海に落ちないでね」
先頭を行くの言葉に
「もね」
言葉を返すが、すぐさまは立ち止まり
クツや靴下を脱ぐと、座り、海水に足を付けた。
そんなの姿を見ながら、立ち止まっていると
「お兄ちゃんもやってみて。
海水が気持ち良いんだよ」
楽しいのかリズムカルに紡がれる言葉に
微笑み、と同じ様にして海水に足を付ける
「本当だ」
寄せては返る波に足濡らすと
歩き火照った体を冷やし心地よさを感じさせてくれた。
目の前に海を見ながら
岩場に座っていると
「月の光が明るくてランプはいらないね」
柔らかく照らす月明かりに、顔を挙げ月を見上げると
「本当だね・・・」
言葉に導かれるようにキラの月を見上げるが
苦しそうな表情に変わり
視線を海に戻すが、
「ここから見ると月に人が住んでるなんて
信じられないよね」
目を細め懐かしそうに見ているに対して
表情に影を作り無言で返すと
不思議そうにの視線はキラの顔を見
どうしたのかと考えると1つの考えが浮かび
持っていたバスケットを開け
「お兄ちゃん、私サンドイッチ作ってきたんだ
お腹が空いたでしょ?」
の膝に置かれたバスケットが視界に入り
聞えてきた言葉に、顔を上げ
「そうだね・・・食べようか・・・」
微笑み、差し出されるサンドイッチを受け取り
食べ始めると、もキラと同じく食べ始める
色々な話をが話しキラが頷き聞いていると
時より胸元のかけられているペンダントに付いた鐘が鳴り
今の状況が夢では無い事を付ける
ヘリオポリス崩壊から巻き込まれる様に戦争に身を投じ
親友であったアスランとのやり取り
アークエンジェルで起こる事
全てが幻ではないかと思わせるには十分な幸せを感じるが
離れて過ごしていた為、知らない事を聞くと
辛くなり、やはり戦争が現実なのだと思わされ
夢中で話しているの表情を愛しそうに見ていると
「でね、その時にシモンズ主任に技術提供をしくれないか
て、言われてその次の日からモルゲンレーテにいるんだよ」
言われた事に一瞬理解が出来ず
黙っていたが時間が立つと理解出来、頭の中で返す言葉が作り上げられる。
「そんなにいるなんて・・・・」
初めて知った事に、驚くがシモンズの言葉を思い出し
「、もしかしてモルゲンレーテで辛い事があった?」
「え?
どうして?」
「いや、大人の人達に混じって仕事していたら
色々あるんじゃないかな?て、思って・・・」
キラの心配を他所に不思議そうに聞き返すは
暫く考え込み
「何もないよ」
笑顔でキラの返すが
「シモンズ主任からが色々大変だ
て、聞いたから心配になったんだ」
何もないなら大丈夫だね
心配そうにしていたキラも微笑み返すが
「シモンズ主任が?
だったらアレかなぁ」
首をかしげ、思い当たる記憶を探り出すと
すぐさまキラの微笑みは消え
「何かあったの?」
真剣な表情でを問うと
バツ悪そうに笑い
「ヘリオポリスから非難する時に怪我をして
それで・・・その、手術をしたの・・・・」
所々切りなりがら告げられる言葉に
「どこを怪我したの?
もう大丈夫なの!?」
見落とす事の無い様、を見るが
ケガらしいケガはまったく見当たらず
口早に質問するが
「もう大丈夫だから心配しないで。
手術も大きなモノじゃなかったから」
手を振り、もう大丈夫だと言い張るに
「は僕と違って弱いんだから
気をつけなきゃダメだよ!」
昔から良く熱を出していたんだから!
季節の変わり目などにはすぐさま対応出来ず
熱を出していた事をキラの言葉から言われると
の額にキラの額が引っ付き
「今はまだ熱は出てないけど、辛かったら直ぐに言うんだよ!」
熱を測り終え、額を離すとため息を付きながら
「は我慢するから心配なんだよ・・・」
と、呟かれ
「もう、大丈夫だもん・・・」
ムッとしたのか、いつもより低い声で呟く
日常では当たり前になっていたやり取りも
離れていた為、懐かしさを感じお互い黙っていると
がキラの手を握り
「私は私で
お兄ちゃんはお兄ちゃんだよね・・・」
力強く握られた手からは暖かさを感じるが
の言葉に海を見ていたキラは
「そうだね。
僕は僕で、はだよね」
の手を握り返し、海からへと視線を移し微笑む
「じゃなくても私は私だよね?」
助けを求めるように握り返してくれたキラを
指を絡める様に握り返す。
「?」
「私は私だよね?」
俯き問われる言葉の意味が解らずにいるキラが
名を呼ぶが、表情を見せてくれる事は無く
俯いたままのに
「うん。
はだよ。
何も心配いらないよ」
優しく頭を撫ぜ、あやす様に柔らかな声で言う
「ありがとう、キラお兄ちゃん・・・」
鳴き声に近い声で礼を言うを
心配そうに抱き寄せ、頭を撫ぜてると
は体から力を抜き、キラに持たれかかる
波の音を聞きながらいると
から寝息が聞え始め
キラは苦笑し、の足を海から上げ
バスケットの中からタオルと見つけると、海水をふき取り
を自分の膝の上に座らせ、自分の足に付いた海水もふき取り
先程脱いだ靴下とクツを履き、
水分が含んだタオルにのクツを包みバスケットに入れ
を落さない様に抱き上げ、岩場に飛び乗り
2人で手を繋ぎ歩いた道を歩き
建物内に入り、与えられた部屋へと戻ってくると
とベットに寝かせ、キラは就寝準備を整えると
起さない様に抱き、のぬくもりを借りて眠りに入った。
後、数時間で日が開け現実が始まる。
ひと時の暖かいの幻を抱き、幸せだった頃へと戻れる様に願いをかける
悪夢ではない幸せな夢を見るカギを抱き
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第9話
ようやくキラさん登場・・・・
名前もちゃんと呼んで頂きました。良かった・・・・
2003 10 1